AIの使い方
AIチラシの「AI臭さ」はなぜ出る? 原因と消し方とプロンプト例
ChatGPTやGeminiで作ったチラシが「いかにもAI」に見えるのはなぜか。玉城祐輔が、よくある5つの原因と、自社の素材を渡す・使わないものを決める・仕上げは人がやる、という解決策を、コピペで使えるプロンプト例と参考になるサイトつきで整理します。
「このチラシ、AIで作ったでしょう?」
見た瞬間にそう分かるチラシが、ここ1年で一気に増えました。
ChatGPTやGeminiの画像生成は本当に高性能になり、誰でも数分で見栄えのするチラシを作れるようになりました。私自身も、業務効率化のためにチラシやスライド資料をAIでよく作っています。AIを積極的に使うこと自体は、とても良いことです。
一方で、AIで作ったデザインには共通の特徴があり、見る人にも「AIで作ったんだな」と伝わりやすくなってきました。先日、私の住む町の議員選挙で配られていたチラシにも、そうしたデザインが多く見られました。伝えたい内容や相手によっては、その「AIらしさ」が、作り手の思いを伝える邪魔になることもあります。
おそらく今後、事業者さんからの相談で増えてくるのは「AI臭さをどう消すか」です。この記事では、その原因と解決策を、そのまま使えるプロンプト(AIへの指示文)の例と、参考になるサイトとあわせて整理します。
先に結論:AI臭さの正体は「誰も決めていない」こと
AI臭さの原因は、AIを使ったことそのものではありません。色、文字、構図、絵柄、言葉のうち、人が決めなかった部分をAIが「いちばん無難な平均」で埋めることが原因です。
AIは、指示されなかったところを、これまでに学んだ大量の画像の「よくある形」で補います。だから、何も決めずに頼むと、誰が作っても似たチラシになります。AIらしさの印象は、この「平均そのものの見た目」と「人が選んだり削ったりした跡が見えにくいこと」から来ています。
解決策は、次の3つに集約できると考えています。
- 自社らしさの素材を渡す:過去のチラシ、ホームページの色、ロゴ、オリジナルキャラクターなど
- 「使わないもの」を先に決める:AIがやりがちな飾りを、指示で封じる
- 仕上げは人がやる:AIには素材づくりを任せ、文字入れ・削る・確認は人が行う

「AIっぽい」と感じられる5つの原因
AIで作られたチラシを並べてみると、作った人もテーマも違うのに、驚くほど共通点があります。
1. 全部盛りで、余白がない
グラデーションの背景、キラキラした光、花や花火、紙吹雪などが、画面いっぱいに入っています。AIは「華やかに」「目立つように」と頼まれると要素を足し続けますが、自分から引くことはしません。
プロのデザイナーは、最初に「何を載せないか」を決めます。余白(何も置かない空間)は、見る人の目を大事な情報へ導くための、立派なデザインの一部です。
2. 文字の処理が、どれも同じ型
極太のゴシック体に白いフチと影、筆で引いたような黄色い下線、一部の言葉だけをオレンジ色にした強調、角の丸いラベル(「講師」「会場」など)。こうした処理は、多くのAIチラシで繰り返し見かけます。
ここが、いちばん「ChatGPTっぽい」と気づかれやすい部分です。
3. 絵柄と表情が、みんな同じ
温かみのある水彩アニメ調のイラストで、登場人物が全員同じような顔をして、全員が口を開けて笑っている。こうした絵を見ると、「本当にあった場面ではない」と無意識に伝わってしまいます。
実写風の人物でも、肌がつるつるで光が均一すぎると、同じ違和感が出ます。
4. 細部が崩れたまま残っている
画像の中の日本語が、意味の通らない文字に化けていることがあります。小さな看板や、画面の中のチラシの文字、地図の地名などは特に崩れやすい部分です。
ここは、5つの中でいちばん手を入れる価値がある部分だと考えています。文字の崩れが残っていると、せっかくの内容まで確認不足に見えてしまうことがあるからです。逆に言えば、ここを直すだけでも印象は大きく変わります。
5. 言葉が、どこの団体にも当てはまる
「人と人、地域と未来をつなぐ」「今こそ○○の波に乗ろう」のような言葉は、どの会社が使ってもおかしくありません。AI臭さは見た目だけでなく、キャッチコピー(宣伝の一言)が平均的になることでも生まれます。

AI臭さが問題になる場面、ならない場面
すべてのチラシで、AI臭さを消す必要があるわけではありません。
たとえば、AIの使い方を教える講座のチラシで「画像は生成AIで作成しています」と書いてあれば、AIっぽさはむしろ内容と合っています。季節のイベントや社内向けの案内なら、スピードを優先してもよいでしょう。
一方で、選挙、士業、医療、不動産のように信頼が商品そのものの仕事では、話が変わります。こうした場面では、その人や会社らしさが伝わること自体が、安心感につながります。AIの平均的な見た目のままだと、せっかくの人柄や思いが伝わりにくくなるので、自社らしさを足す工夫をしておきたいところです。
チラシを作る前に「このチラシで信頼を得たいのか、にぎやかさを伝えたいのか」を一度考えておくと、どこまで手をかけるかを決めやすくなります。
解決策1:自社らしさの素材をAIに渡す
いちばん効くのは、AIに「平均」ではなく「自社の見本」を見せることです。ChatGPTもGeminiも、画像を添付して「これを参考に」と指示できます。
渡すとよい素材は、次のようなものです。
- 過去に作ったチラシや名刺、パンフレット(評判が良かったもの)
- 会社のホームページの画面(色と雰囲気が伝わる部分)
- ロゴと、会社で使っている色(カラーコードが分かればなお良い)
- オリジナルキャラクターや、実際の店舗・スタッフの写真
- 「こういう雰囲気にしたい」という他社の良い例(あくまで雰囲気の参考として)
このとき大事なのは、添付した画像それぞれに「何の参考か」を書くことです。OpenAIの公式ガイドでも、参照画像ごとに「人物の参考」「画風の参考」「背景の参考」のように役割を決めて伝えることが勧められています。OpenAI「Image prompting」
プロンプト例:素材を渡してトーンをそろえる
添付した画像を参考に、〇〇(店名・会社名)の新しいチラシのデザイン案を作ってください。
【添付画像の役割】
・画像1:過去のチラシ。レイアウトと文字の大きさのバランスを参考にしてください
・画像2:自社ホームページ。色と雰囲気を参考にしてください
・画像3:自社キャラクター。見た目を変えずにそのまま登場させてください
【色】
・使う色は3色まで:紺(#1F3A5F)、コーラル(#F47F62)、生成り(#FAF6EE)
・背景は生成りの単色。グラデーションは使わない
【用途】
・A4縦の店頭チラシ。50代以上の地元のお客様に向けたもの
・いちばん伝えたいことは「〇月〇日に〇〇を開催すること」
同じ素材を毎回添付するのが面倒な場合は、ChatGPTの「プロジェクト」やGeminiの「Gem」のように、指示と資料を保存しておける機能に入れておくと便利です。デザインの道具としてCanvaを使っているなら、ロゴ・色・フォントを登録できる「ブランドキット」に一度まとめておくと、仕上げの工程がぶれにくくなります。Canvaヘルプセンター「Set up Brand Kits」

解決策2:「使わないもの」を先に決めて封じる
素材を渡しても、AIは「素材+いつもの癖」を混ぜて出してきます。そこで効くのが、AIがやりがちな飾りを、先に禁止しておくことです。
トンマナ(トーン&マナー:色や文字、雰囲気の統一ルール)を決めるとき、多くの人は「こうしたい」だけを書きます。AI相手には「これはしない」を書くほうが効果が大きいと私は感じています。
エンジニア向けの記事ですが、AIの手癖として「角丸の枠で囲むレイアウト」と「目を引くための過剰な言い回し」を名指しで禁止し、余白と分かりやすさを優先させる考え方が紹介されています。チラシにもそのまま応用できます。Qiita「生成AI特有の『AIっぽいデザイン』を脱却する簡単なプロンプト」
プロンプト例:AIの癖を禁止する
次のルールを必ず守ってください。
【使わないもの】
・キラキラ、光の筋、レンズフレア、紙吹雪などの装飾エフェクト
・グラデーションの背景
・文字の白いフチどり、ドロップシャドウ、筆で引いたような下線
・角の丸い枠やラベルで情報を囲むこと
・全員が同じ顔で口を開けて笑っている人物
・「未来をつなぐ」「波に乗ろう」のような、どこにでも当てはまる言葉
【優先すること】
・余白を十分にとる。画面の3割以上は何も置かない
・見出しは1つだけ。情報の優先順位は「日時・場所 → 内容 → 申込方法」
・区切りは余白か、細い直線だけで表す
プロンプト例:絵の質感を「平均」から外す
イラストや写真風の画像を作るときは、画風や光を具体的に指定すると、よくあるAIの絵柄から離れます。LIFULLのクリエイティブチームの記事では、光の向きや時間帯、構図の割合、「やってほしくないこと」まで言葉で設計する方法がまとめられています。LIFULL CREATIVE「AI画像は言葉のディレクションが9割」
・画風:線の少ない、色数を抑えた版画風のイラスト。水彩アニメ調にしない
・光:夕方の斜めから差す光。影ははっきり出す
・人物:年齢も表情もばらばらな3人。笑顔は1人だけ。カメラ目線にしない
・構図:人物は画面の下3分の1に小さく配置し、上側は文字を入れるために空けておく
解決策3:AIには素材だけ作らせ、仕上げは人がやる
私がいちばんお勧めしたいのが、この分担です。
AIには、イラストや背景などの「素材」だけを作ってもらい、文字入れと組み立ては人がCanvaやパワーポイントなどで行う。これだけで、文字化けがなくなり、文字の「型っぽさ」も大きく減ります。人物は実際のスタッフの写真、会場は実際に撮った写真を使えば、その会社にしか作れないチラシになります。
印刷会社のブログで、AIでチラシを作る際に「レイアウト」と「原稿」を分けて指示する検証が公開されています。結論は、雰囲気の比較やたたき台には十分使える一方、文字の精度や細かなそろえ方は人の手直しが必要、というものでした。現場の感覚とも一致します。上田写真製版所ブログ「AIに丸投げでチラシは作れるのか?」
プロンプト例:文字を入れない「素材」として作らせる
チラシの背景に使うイラストを1枚作ってください。
・文字、数字、ロゴは一切入れない(あとで自分で入れるため)
・上半分は、見出しを入れるために何も描かず無地で空けておく
・添付した自社キャラクターを、画面の右下に小さく配置
・色は紺・コーラル・生成りの3色だけ
・装飾エフェクト、グラデーションは使わない
どうしても画像の中に文字を入れたい場合は、入れる文字を「」で囲んで一字一句指定し、「それ以外の文字は入れない」と書き添えます。OpenAIとGoogleの公式ガイドのどちらでも、文字はかぎかっこや引用符で囲み、書体や位置まで具体的に指定する方法が紹介されています。Google Cloud公式ブログ「Nano Banana のプロンプト方法の究極ガイド」
それでも崩れることはあるので、文字は最終的に人の目で一字ずつ確認することを前提にしてください。

仕上げに「3割削る」確認をする
完成したら、最後に要素を3割減らすつもりで見直します。一つずつ「この飾りがなくて困る人はいるか」と問いかけると、ほとんどの装飾は消せます。
あわせて、次の点も確認してください。
- 画像の中の文字に、意味の通らない字や誤字がないか
- 日時、場所、電話番号、料金などの数字が正しいか
- 人物の指の数や、手の形がおかしくないか
- 地図や建物が、実際と違っていないか
- 「この会社にしか書けない言葉」が1つ以上入っているか
最後の項目は、見た目以上に大事です。「地域と未来をつなぐ」ではなく「毎月第2土曜の午前、〇〇公民館で開く無料の相談会」のように、具体的な事実を書くだけで、言葉はAIの平均から離れていきます。
AIにこの確認を手伝ってもらうこともできます。
添付したチラシを、初めて見る地元のお客様の目線でチェックしてください。
・読めない文字、誤字、不自然な日本語
・「AIで作った」と感じさせる装飾や表現
・なくても伝わる要素(削除候補)
を、それぞれ箇条書きで指摘してください。修正案は出さなくてかまいません。
参考になるサイト
ここまでに紹介したものも含め、AI臭さを減らすための考え方やプロンプトの参考になるページをまとめておきます。内容は各サイトの公開時点のものです(2026年9月25日確認)。
公式のガイド
- OpenAI「Image prompting」:文字の指定方法、参照画像の役割の分け方、「変えないもの」の伝え方など(英語)
- Google Cloud公式ブログ「Nano Banana のプロンプト方法の究極ガイド」:Geminiの画像生成で、参照画像の使い方、文字の描き方、構図や光の指定方法
- Canvaヘルプセンター「Set up Brand Kits」(英語):ロゴ・色・フォントをまとめて登録し、仕上げの工程をそろえる方法
実践例・考え方
- LIFULL CREATIVE「AI画像は言葉のディレクションが9割。『生成っぽさ』を消す画像設計術9選!」:主役と脇役、構図、光、素材感、NG条件を言葉で設計する方法
- Qiita「生成AI特有の『AIっぽいデザイン』を脱却する簡単なプロンプト」:角丸の枠と過剰な言い回しを禁止し、余白で整理する考え方
- 上田写真製版所ブログ「AIに丸投げでチラシは作れるのか?」:レイアウトと原稿を分けたプロンプトで、チラシを実際に作った検証
- ITmedia ビジネスオンライン「『AIっぽさ丸出し』の画像から脱却せよ 実際にチラシを作ってみた」:GeminiとCanvaを組み合わせてチラシを作る過程とプロンプトの紹介
デザイナーの仕事は「1枚作る」から「その会社の型を作る」へ
AI臭さを消したいという相談は、これからデザイナーさんのもとにも増えていくと思います。ただ、その中身は少しずつ変わっていくはずです。
これまでは「チラシを1枚作ってほしい」という依頼が中心でした。これからは、その会社専用の色、文字、キャラクター、禁止事項、お手本をまとめた「型」を作ることに価値が移っていくと私は考えています。一度その型ができれば、事業者さん自身がAIで何枚作っても、自社らしさは崩れません。
AIを使うこと自体を恥ずかしがる必要はまったくありません。大事なのは、AIに任せる部分と、自分で決める部分を分けることです。まずは次のチラシを作るとき、過去のチラシを1枚添付して、「キラキラとグラデーションは使わない」と一行書き添えるところから始めてみてください。それだけでも、仕上がりの印象はかなり変わります。
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